クメン寺院制作・本体編


2008年の夏、書店でたまたま手にしたモデルグラフィックス誌に載っていた、ひとつの作品に目を奪われました。
「地獄門」 
というタイトルがつけられたその作品は、今まで見たことの無い情報量が込められた、とんでもない完成度だったんです。

身の程知らずにも私は、何とかその作品に近づけないか・近いものが作れないか、どうしても試してみたくなってしまいました。
本来、情景模型というものは、あまり他の方の構成等を真似るべきではないと思うのですが、今回はあえて、ほぼ同じ構成でチャレンジしてみました。 …アマチュアのミュージシャンが、好きなミュージシャンの完コピを目指す気持ちに似ていたかもしれません。

ただ一点違ったのは、使用したATのキットが、スコープドッグではなく、タカラから再販された「1/24 スナッピングタートル」だったことです。

コレを作り始める少し前、友人が模型誌でライターデビューをしておりまして、その題材が「ストライクドッグ」だったんです。 おめでとうの意味を込めて、同じイプシロンの乗機を選んだわけです。  前置きが長くなりましたが、それでは解説に入ります。


こういった、俗に「旧キット」と呼ばれるキットを作る場合、関節の可動範囲を広げる、というアプローチがよくとられます。 …現在のキットに比べて、これらのキットは全然動かないことが多いですから。 今回、情景模型にすることが決まっていたのですから、別に関節がよく動く必要は無いのですが、私は一発でポーズを決めるのが今ひとつ下手なんです。 ベースの上に乗せて、あれこれいじりながら決定したい。

そういう必要性があって、とりあえずは各関節のポリ化・可動範囲拡大を目指します。

足のパーツわけはこんな感じです。  最近はこういう改造に適した、プラ製のポリキャップ受け、軸受けが数多く発売されておりますので、見合ったものを選んで使用しております。 

続いて腕のパーツわけです。 塗装しやすいように、後ハメ可能なようにしてあります。 ブロックごとにパーツを分けていくと、あっという間に机の上がいっぱいになってしまいます(笑)


関節のポリ化を進めるのと平行して、パーツ一つ一つの精度を上げる、また引け処理などの基本工作も行っていきます。 
左の画像は、コクピットブロックです。 キットのままで組み立てると、ハッチ部分の合いが悪く、結構な隙間が開いておりました。 

湿地帯・水辺で運用されることを考慮しますと、どうにもこのままではまずい(浸水してきそう)気がしましたので、ハッチを本体に接着し、その後スジ彫りで再現してやることに決めました。 当然コクピット内部はオミットされています。 

右の画像は、金型からパーツを取り出す際につく跡、いわゆる「押しピンあと」を処理しているところです。 瞬間接着パテで埋め、600番程度のペーパーをかけます。 …制作時間の多くは、こういった地味な作業に費やされます。


 左はコクピット周りを横から写したものです。  窓のような穴が開いていたのですが、コクピットを接着したのと同じ理由から塞いでおります。 合いが悪く段差が大きいところは、パテ系素材ではなく1mmプラ板を接着する形で処理したりもしています。

右の画像はアドラーズネストから発売されている、金属製アップデートパーツです。 胸部マシンガンとアンテナ基部のパーツを使用しました。 本来メインとなるであろうカメラパーツは、Wave製アップデートパーツの方が形状が好みだったので、そちらを使用しております。

各パーツを組み付けた状態です。 フォルムに関してはほぼキットのままですが、十分かっこいいと思います。 
手首、頭部をWave製アップデートパーツに交換しただけで、個人的には満足のいく形になりました。


関節ポリ化によって、かなりポージングの自由度が増しました。 

今後問題となるのは、デザイン上左右のスイングも上下に振ることもできない首です。 首が可動しないというのは、情景模型上で「演技」をさせる場合、大きなマイナスとなります。 首が固定されたまま動きを表現するには、どういうポーズが良いか、かなり悩みました。

全体の表面処理が終わったところで、塗装に入ります。  表面処理は、つや消し仕上げが決まっていたので、600番までしかペーパーをかけておりません。 その後、1000番のサフを吹いてあります。

塗装には主に、フィニッシャーズカラーを使用しております。 

全パーツを黒塗装(光の透過を防ぐため)したあと、青部分はファンデーションブルーで下塗りし、その上からピュアブルーに若干量のホワイトを加えた青で上塗りしています。 白部分は、黒下地の上からファンデーションホワイトを塗っております。

このあと、ベース完成を待って(ベースの具合とあわせながら)汚し塗装を施すことになります。 そちらは「情景編」で解説しようかと思います。


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